大阪書籍 中学社会(歴史分野)を読んで

たまたま平成15年発行の中学教科書を読む機会があった。148ページに併合時代の韓国の三・一独立運動に関する記述があるのだが、ページ上部に『ソウルで行進をする女子学生たちで、円内の少女は、16歳で独立運動の先頭に立ってたたかった柳寛順です。』との見出しとともに行進する女子学生の写真と、その一部分の円内に柳寛順の写真が掲載してある。この写真を見てゾクッとしたのは、写真の左上にふきだしの中に『写真を見て なぜデモ行進をするのか、考えてみよう。』の一文があることだ。中学校でこの写真を見て、一体どんな授業が展開されているのであろうか。同じページの下部四分の一ほどのスペースには『日本の朝鮮支配を批判した日本人』の見出しとともに柳宗悦の言葉も掲載されている。韓国併合に関する記述は『朝鮮(韓国)の外交権をうばって』、『日本語や日本の歴史を強制的に教えました。』、『朝鮮民族の習慣や文化を否定し』など、全面的に否定的な表現でなされている。『朝鮮民族の習慣や文化を否定し』と断言してあるが、これはあきらかにおかしな記述である。小学校ではハングル語の授業を行い、ハングル語の教科書が現存してもいる。そもそも朝鮮にもともと独自の文化と呼べるものがあったかさえ怪しいのだが。
もう一つ、盧溝橋事件に関しての記述で、164ページの下部にコラムとして『盧溝橋事件について、日本と中国の考えのちがいは?』というものがある。ここでは、日本の立場からの考えと中国の立場からの考えが一緒に載せられているのだが『<中国の考え>』『<日本の考え>』と、中国側からの考えが先に来ている。細かいが、こういうところにも何か作為的なものを感じてしまう。
思ってた以上に偏った内容であったのに驚いた。流し読みしていると、対外的なところでは常に日本がすべての面において悪い、という印象を受けるような教科書だ。こんな一方的な記述のみで歴史を教えて大丈夫なのか?